なにをやってもだめな自分

劣等感のかたまりの自分

抑うつ状態の自分

仕事に行けない自分

友だちがいない自分

独り者の自分

家族に恵まれなかった自分

・・・

・・・

そんなダメ人間の自分をなんとか変えたくて　自己啓発本や心理学本を読むと

必ずと言っていいほど

「自分を好きになりましょう」と書いてある

「自分を好きになる方法」とかいう文字をあちらこちらで目にする

でも　こんなにダメな自分のことなんか　どうしても好きになれないよ

自分を好きになれない人間は　ますますダメな人間だ

いっそもう　死にたい

こんなダメな人間では　この先もきっといいことなんかない

希望がもてない

「自分を好きになろう」ということばに私も苦しんだ

自分を好きにならなくちゃ　と思っていろいろやっても

どうしても自分を好きになんてなれない

そんな自分をますますダメ人間だと思って落ち込んでしまう

そんなとき　あることばに出会い　少しだけ気持が救われた

「ゆきづまったまま生きる」

八方ふさがりでゆきづまってしまっていても　そのままの自分で生きていれば

また足元からおのずと道ができていくよ

これは　生活の発見会（神経症に悩む人達の自助グループ）の先輩がつくったことば

きっと　先輩が苦しみぬいた末に考えついたことば

生活の発見誌（自助グループの機関誌）に載っていたことば

そのことばは　心理学の本よりも　ずっとずっと救いになった

やがて私は気がついた

「自分を好きになろう」ということばにとらわれていたことを

単純に　思った

もともと自分のことが好きなんじゃない？

自分のことが好きだからこそ　いろいろとうまくやれない自分のことを悩むんじゃないのか？

もし　自分のことがどうでもいいと思っているのなら　自分のことを悩む必要なんかどこにもない

自分を好きで大切と思っているから　だから悩むのだ

だからもうこれ以上　自分を好きになれないことで悩む必要なんかない！

だってもう　生まれたときから自分のことを好きで大切なのは本能だから

それを忘れてしまっているだけ　知らなかっただけ

無理に自分を好きにならねばと思おうとしたこと　それが自分を苦しめていたのだ

もともと自分のことは好きで大切なんだ

そのことに気がついた瞬間　自分を好きになれない悩みから解放された

そして「ゆきづまったまま生きる」ということばの先にわずかな希望を感じて

そのときそのときの自分のままで　悩みながら生きていくことができたのだろうと思う